- Q:ペインクリニックとはいったいどのような治療法なのでしょうか?
- 神経ブロック療法を中心に、一般の「痛み止め」に頼った治療とは異なった療法です
- Q: 神経ブロック療法は、痛み止め治療ではないのですか?
- 神経ブロックを「痛みどめ注射」と表現される患者さんがいらっしゃいます。これは神経ブロック療法について正しい表現とはいえません。「痛み止めの注射」とは、麻酔のことを指しています。麻酔は一定の時間がたったら麻酔が切れてもとに戻らなければなりません。神経ブロックでは、使った薬が切れた後も、効果は持続します。
- 神経ブロック療法では、神経の異常な活動をおさえることで、局所の血流を良くし、痛みの原因物質を洗い流すことで組織の治癒をうながすからです。また、計画的に繰り返すことで蓄積の効果もあります。
- Q:痛みを止めてしまったら、からだに良くないのではありませんか?
- からだに具合の悪いところがあることを知らせるための痛みをなくしてしまうのではありません。
- たとえば、わたしたちにとって大切な病気の情報である「虫歯が痛い」「盲腸が炎症で痛い」などの病気の警告情報としての痛みは神経ブロックで消し去ってしまうことはできません。
- Q: どんな痛みが神経ブロック療法にむいているのですか?
- からさわクリニックを受診される患者さんでは、帯状疱疹の痛み、ぎっくり腰の痛み、坐骨神経痛、四十肩で手の上がらない痛み、などが代表的な病気です。これらの「痛み」は、病気を知らせるための痛みが暴走してしまったような痛みといえます。
- Q: 痛みが暴走するって、どういう意味ですか?
- わたしたちを悩ませる病気の中には、もともとは、わたしたちのからだを守るはずのしくみが悪さをしているものがあります。
- たとえば、花粉症やぜんそく、アトピーなどのアレルギーは、本来からだを守るための免疫のしくみが暴走して起こる病気です。
- 同じようなことが、痛みにもあって、病気を知らせるための「痛み」が勝手にひとり歩きを始めてしまうのが腰痛や四十肩、帯状疱疹などの痛みなのです。
- Q:副作用が心配です
- 「神経ブロックは、正しく行われれば痛み止めよりも副作用が少ない」といったら驚かれるでしょうか?
- 口からのんだ痛み止めは、胃や腸から吸収されてからだじゅうをめぐります。そして、ほんの少しが患部までたどりついて効くわけです。その途中では胃を荒らしてしまったり、腎臓を傷めつけてしまったり、いろいろな副作用がおきます。(注1)
- しかし神経ブロックは患部に直接にくすりを注射しますから、少量のくすりで大きな効果が期待できます。 (注1)アメリカ合衆国では、1年間に約6万人から9万人!が痛み止めの副作用で死亡しています。
- Q: 神経ブロック療法は、どので受けられますか?
- たしかに神経ブロックは、よく効く、切れ味の鋭い治療法です。しかし、高度の技術や経験を必要とする治療法なので、専門のドクターが治療を行っている病院をおすすめします。わたしが推薦できる施設をあげた「からさわクリニックがおすすめするペインクリニック」のページを設けました。参考にしてみてください。
- Q:何回くらい治療すればいいのですか?
- これは、お答えするのに大変難しい質問です
- ぎっくり腰などでは、わずか数回の神経ブロックで劇的な効果がみられることもまれではありません。
- 頚や肩や腕の痛みでも、それまで痛み止めをのんでも、夜も眠れなかったような痛みが、神経ブロックを数回受ければ、とりあえず休むことができるようにはなるものです。
- 帯状疱疹などの病気では、順調に痛みが減っているように感じても、やはり1ヶ月くらいは入念な治療をしたほうが間違いがありません。
- いっぽうで、長年わずらっている病気、すっかりこじれてしまった病気では、やや時間がかかります長年の痛みのために、すっかり悪くなってしまった血液の循環や、こりかたまった筋肉の緊張や、痛みの記憶(不思議なことに痛みにも記憶のメカニズムがはたらきます)は一朝一夕には治らないからです。一般的に神経ブロック治療を始めるまでの期間が短いほど短期間で治療効果が期待できると考えてください。
- 反対に、神経ブロック治療の開始が遅れてしまった場合には、あせらないでじっくりと治療することが大切です。
- Q: 治療は痛くはありませんか?
- これもよく受ける質問です。
- たとえば代表的な神経ブロックである星状神経節ブロックでは25ゲージという太さの針をつかいます。この針は、皆さんが採血や点滴を受けるときに使用する針よりも3~4段階も細い針です。
- さらに、わたしが技術を磨いたNTT東日本関東病院ペインクリニック科出身のドクターであれば、ひときわ細い針での神経ブロック治療が可能です。
- たとえば腰痛の治療に、よくおこなう硬膜外ブロックは採血の針と同じ程度の太さの針ですませることができます。(注2)
- そのうえ硬膜外ブロックでは、あらかじめ細い針で痛み止めの注射をしていますから、患者さんによっては「もう終りなんですか?」という驚きの声を発するかたもあります。
- わたし自身が、いくつかの神経ブロックを経験しているから言えることですが、痛みや恐怖のために神経ブロック治療ができない方は、いらっしゃらないのではないでしょうか。 (注2)もちろん、このような細い針でブロックができる技術をもったドクターは限られています。
- Q:帯状疱疹といわれました。担当医からペインクリニックを勧められましたが、受けるべきでしょうか?
- あなたが、60歳以上の年齢であったり、若くても免疫力が低くなる病気(糖尿病など)をお持ちであれば、ペインクリニックの治療をお勧めします。
- 帯状疱疹の後に、生涯痛みが残ってしまう割合は60歳以上では25~35%と、かなり高い確率だからです。
- たとえ、若い方でも免疫力の低下した方(免疫を抑える薬を服用している。ガンの治療をしているetc)は、神経痛を残す確率が高くなります。
- Q: ギックリ腰で動けません。注射は怖いのですが、受けた方がよいですか?
- たしかに神経ブロックは、よく効いて頼りになる治療法です。できるだけ早く社会復帰して仕事をしたい方には積極的にお勧めします。
- しかし、どうしても注射が怖い方にむりやり行うものではありません。最近では、内服薬でも神経ブロックほどではありませんが、有用な薬ができてきました。まず、こちらからお試しいただくことも可能です。
- Q:母は認知症があります。神経ブロック治療ができますか?
- これも、お答えするのに大変難しい質問です
- 神経ブロックは行う私の技術も重要ですが、治療の時には、お願いした姿勢をとって動かないこと、など、患者さんにも協力してもらう必要があります。あまりに進んでしまった認知障害や、高度の難聴、知的障害、精神疾患などでは、そうしたことが困難な場合があります。このような時は神経ブロック治療に適さないこともあります。
- また、一人暮らしの高齢者などで、治療後の約束事(一部の治療当日は入浴しないことを指示されるブロックなど)を忘れてしまう場合も適しません。